睡眠は体と心と脳の休息について知りたくはありませんか?
この記事では、睡眠は体と心と脳の休息について解説しています。
人間はどうして眠らないといけないの?疑問にお答えします。
この記事の内容は次の通りです。
睡眠は体と心の休息
「寝る子は育つ」は本当!
ヒトの不眠最長記録は11日間
事故、ミス……不眠が招く悲劇
人生の3分の1も眠っているなんて、無駄だと思いませんか? でも睡眠は、とても大事なものなのです。睡眠中に体で起きていること、不眠マラソンの結果、睡眠不足が引き起こした大惨事についてご紹介します。
日8時間眠っている人が80歳まで生きるとしたら、27年間も眠り続けていることになります。人生の3分の1も眠っているなんて、ちょっともったいないと思うかもしれませんね。
そもそも人間は、なぜ眠らないといけないのでしょうか? そこで今回は、まず、睡眠の働きや大切さについて解説し、不眠の恐ろしさについて、実例を挙げてご紹介します。
睡眠は体と心の休息
「あ~あ、良く眠れた」と思ったときには、すっきりと目覚めて爽快な朝を迎えられますよね。これは睡眠中に、体と心の疲れが完全に回復した証拠です。睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類があります。レム睡眠中は筋肉が緩むので「グッタリ眠っている状態」であり、ノンレム睡眠中は脳が休息しているので、さらに深く「グッスリ眠っている状態」と言えます。
脳にとっては、ノンレム睡眠は休息して回復する眠りであり、レム睡眠は休息と目覚めを橋渡しする眠りです。休息中の脳の中では、老化の原因の1つである過酸化物質の分解が盛んに行われます。つまり睡眠は、脳の解毒を行って脳細胞が死なないようにしている時間なのです。またレム睡眠では、起きている間に新しく作られた神経細胞のネットワークの、試運転や点検・整備を行っています。このときに夢を見るとも言われています。
「寝る子は育つ」は本当!
心身ともに成長著しい子どもは、大人以上に睡眠が必要です。深い睡眠の時間帯に、成長ホルモンがたくさん分泌されます。成長ホルモンは、細胞の分裂や増殖を促したり、傷ついた組織を修復してくれます。昔から「寝る子は育つ」と言いますが、このことを表していたのですね。さらに明け方近くには、副腎皮質ホルモンの血中濃度が高まります。このホルモンは、ストレスをやわらげてくれる働きと、体内でエネルギーを作り出す働きがあります。
最近、キレやすい子どもの増加が問題になっていますが、 子どもの睡眠不足とキレやすさの間には、脳の神経のバランスをとるセロトニンと言う物質を介して、深い関係があります。つまり、夜更かし→朝寝坊→朝食抜き→日中の運動量の低下→セロトニン不足→攻撃性の増強→キレる、という図式です。子どもにとって睡眠は、本当に大事なことなのですね。
ヒトの不眠最長記録は11日間
長時間、眠らないでいると、脳細胞が死んでいきます |
実験で長い間、動物を眠らせないでおくと、一匹残らず死んでしまいます。死んだ動物の脳の中では、多くの神経細胞が傷つき、壊れ、死んでいました。動物にとって睡眠は、脳細胞の修復に不可欠なものなのです。
では、人間が長時間眠らないと、どうなるのでしょうか? 死ぬまで眠らせない実験はできませんが、睡眠専門医師が立ち会った最長記録は、アメリカの高校生が達成した11日間、正確には264時間です。この不眠マラソンの間、特に深夜から早朝には、分析や判断、記憶、知覚、運動の面で大きく能力が低下してしまいました。
事故、ミス……不眠が招く悲劇
睡眠不足は、大惨事につながることがあります |
眠気が気持ちの問題だけではなく、交通事故や労働災害など、時に経済的な損失も招きます。例えば、日本での不眠によって生じる経済損失は、2006年の時点で3兆5千億円になると計算されています。国民一人当たりにすると、毎年約3万円の無駄使いをしていることになるのです! あなたもグッスリ眠って、お金も取り返しませんか?
また、1986年に起こった、スペースシャトル「チャレンジャー」号の爆発事故を覚えていますか? 初の民間人や黒人、日系人を載せて打ち上げられたわずか73秒後に、大爆発を起こして乗員全員が死亡しました。直ちに事故の調査が行われましたが、その結果は衝撃的なものでした。なんと事故の原因は、打ち上げの担当者たちが、重度の睡眠不足に陥っていたことだったのです! 睡眠をもっと重視していれば、こんな大惨事は起きなかったのかも知れませんね。
今回は、睡眠の働きや睡眠中に体の中で起こっていることを解説し、不眠の恐ろしさについて実例を挙げてご紹介しました。皆さんも、睡眠の重要性を十分に理解した上で、快適に眠るように心がけましょう。