コロナ禍で「歯ぎしりによる歯欠け」が急増中|その兆候とは?

コロナ禍で「歯ぎしりによる歯欠け」が急増中|その兆候とは?

マンハッタンで歯科クリニックを営むTammy Chen医師は2020年9月、ニューヨーク・タイムズに記事を寄稿しました。 その内容は、6月にクリニックを再開して以来、歯が欠けたと訴えてクリニックを訪れる患者の数が増えているというものでした。

歯ぎしりする人が増えている?

今は、誰もが全世界を襲った新型コロナウイルスのパンデミックの中で生活を送っているうえ、アメリカでは大統領選が泥沼の争いになったという事情を考えると、Chen医師の報告にも納得がいきます。 こうした世の中の出来事は、ストレスの源となります。そしてストレスを感じると、一部の人は上下の歯をすり合わせたり(グラインディング)、強くかみしめたり(クレンチング)します。 中には、この両方を行なう人もいます。すると今度は、これが原因で歯が欠けてしまうのです(1本では済まず、複数本欠けるケースもあるほどです)。 それなのに多くの人は、自分がグラインディングやクレンチングをしているという自覚さえありません。 そのため、診察を受けた歯科医から、歯が欠けた原因はおそらく歯ぎしりだと聞かされると、びっくりしてしまうのです。 自分も歯をこすり合わせたりかみしめたりしているかもと、心当たりがある読者のみなさん向けに、この記事では自己診断するための方法を以下に説明します。 できれば、歯が欠ける前にこうした兆候に気づいてもらえればと思います。

人が歯ぎしりをする原因は?

クリニックを構えて20年近くになる歯科医で、Advanced Dental ArtsのオーナーでもあるTodd Bertman医師も、チェン医師と同様に、最近になってブラキシズム(歯ぎしり)の症例が増えていると実感しています。 ブラキシズムとは、「歯をこすり合わせる」「きしませる」「かみしめる」といった、広義の歯ぎしりを指す専門用語です。 Bertman医師は米Lifehackerに、「歯をこすり合わせたりかみしめたりするといった症状が、これまでにないほど広く見受けられます」と話してくれました。 こうした症状を臨床で目にすることはあるので、歯科医は常にこれに対処してきました。 たいていの場合、患者さんは、歯が割れる、欠ける、ぐらぐらするといった手遅れの状態になるまで、自分が歯ぎしりをしていることにさえ全く気づいていないケースがほとんどです。 Bertman医師によると、ブラキシズムは人の体の神経学的な反応だと考えられているとのことです。 これには肉体的、精神的、遺伝的要素が組み合わさっています。寝ている間に起きるものが大半ですが、集中している時には、起きている間にも発生することがあります。 ストレスが高まる時期には、ブラキシズムがより頻繁になり、かみしめる力も強くなることがわかっています。 歯をこすり合わせたりかみしめたりしている時、歯には100キロ以上の力がかかることがあります。 これに加えて、アンフェタミンをはじめとする一部の薬や、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害も、ブラキシズムの要因になることがあるとBertman医師は指摘します。

ブラキシズム(歯ぎしり)の兆候や症状は?

グラインディングやクレンチングの兆候は、歯の診察の際に歯科医に指摘されて初めて気づくケースが多いのですが、自分でも注意しておくべきポイントはいくつかあります。 Bertman医師は、以下のような兆候を挙げてくれました。 歯がすり減る 歯に傷やへこみが目立つ 歯が欠ける 冷たいものがしみる 歯並びが悪い あごの筋肉が過剰に発達する(えらが張ったように見える) 朝起きるとあごが痛い 朝起きた時に頭痛がする。特に、こめかみ(側頭筋)や額(前頭筋)、もしくはその両方が痛む場合(Bertman医師によると、この症状はたいていの場合、グラインディングよりもクレンチングの結果として生じるそうです)。 また、Chen医師がNYTの記事で指摘しているように、普段から歯の位置を意識することも大切です。 読者のみなさんは、この記事を読んでいる間、上の歯と下の歯が触れていますか? もしそうなら、それは歯にダメージを与えているという確かな証拠です。今まさに食事をしていて、食べ物を咀嚼している時以外は、1日を通じて、上下の歯が触れていてはいけません。 そうではなく、あごの筋肉に無理な力が入らず、唇が閉じられている時は上下の歯の間に多少のすき間があるのが望ましい状態です。 できるだけ注意を払い、自分が上下の歯をこすり合わせていることに気がついたら、意識してやめるようにしましょう。

ブラキシズム(歯ぎしり)の治療法は?

ブラキシズムに関して、最も一般的な治療法は、睡眠時用のマウスピース「ナイトガード」を作り、寝る時に着用するというものです。 これは「歯を物理的に守り、圧力を吸収分散する」効果が期待できると、Chen医師は説明します。 ドラッグストアで買えるタイプのマウスピースキットもありますが、Bertman医師によると、「こうしたキットの素材は柔らか過ぎるため、逆にグラインディングやクレンチングがひどくなり、長い目で見るとさらに問題が深刻になる恐れがあるので、使用はお勧めできない」とのことです。 Bertman医師は、歯科医と相談して、カスタムメイドのナイトガードを作ってもらうことを勧めています。 ボトックス治療も、もう1つの選択肢です。 Bertman医師によれば、ボトックスには筋肉の動きをスローダウンさせ、可動域を狭める効用があり、ナイトガードと組み合わせて使うことで最大の効果を発揮するとのことです。 理屈の上では、グラインディングやクレンチングの治療を受ければ、歯が割れるのを防ぐことができるはずです。 とはえ、マウスピースを着用していても歯が割れることはあります。 「ブラキシズムは、人の生活の質を大きく下げる恐れがある問題です。 心当たりがあるのなら、歯科医にこの件について相談をするのがベストな対策です」とBertman氏は述べ、歯科医に行くことを勧めています。