歩くことは健康に本当に良いのか?

1.はじめに

「歩くことが健康に良い」と言われますが、その理由について取り上げることにしました。今回は特に、「1日の歩数」と健康指標となる健康診断項目との関係に焦点を当てて、歩くことが健康に良い科学的根拠について紹介したいと思います。

2.「歩くことが健康に良い」理由

2.「歩くことが健康に良い」理由 厚生労働省が行った国民栄養調査によると、「1日の歩数」と健康診断データなどとの間に、次の①から③までのような関係があることが分かりました。

 

①「1日の歩数」と血圧の関係
図1は、「1日の歩数」と血圧の関係を表したものです。「1日の歩数」が多い人ほど最高・最低血圧が低いことを表していました。その低下傾向は、最高血圧の方が最低血圧より著しいことを表します。

図1.「1日の歩数」と血圧の関係(厚生省、1991)

 

②「1日の歩数」と善玉コレステロール(HDL-コレステロール)の関係
図2は、「1日の歩数」と血液中のHDL-コレステロールの関係を表しました。HDL-コレステロールは善玉コレステロールと呼ばれ、健康診断の血液検査項目の1つになります。この数値は男性よりも女性の値が高く、数値が高いほど健康状態が良いことを表す指標です。基準値が男性で40mg/dl以上、女性で45mg/dlといわれています。

グラフで表したとおり、男女ともに、「1日の歩数」が多い人ほど、善玉コレステロールの値が高いことを表していました。善玉コレステロールは、血管壁に沈着したコレステロールを取り除き、肝臓に運ぶ働きがあります。その働きで、動脈硬化を予防できるといえるでしょう。動脈硬化とは、動脈にコレステロールなどがたまって、硬くなったりして弾力性を失った状態です。動脈硬化が進行すると、日本人の死因の主な原因である心疾患(心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳梗塞など)を引き起こす恐れがあります。このことから、より多く歩くことで善玉コレステロールの値を高くして、動脈硬化を防ぐ効果が期待できることでしょう。

図2.「1日の歩数」とHDL-コレステロールの関係(厚生省、1991)

 

③「1日の歩数」と便通の自覚症状との関係
図3は、便通の状況と「1日の歩数」との関係をグラフで表しました。便通が「ほとんど毎日」の自覚症状の人は、「1日の歩数」が約5千歩以上あることが分かります。便通が「2日に1回」、「3日に1回」、「決まっていない」などの自覚症状の人は、4千歩くらいである結果でした。一般に、運動は結腸ガンの予防になることが指摘されています。運動することによって、胃腸の通過時間を短縮することがその理由です。

図3.便秘の状況と「1日の歩数」との関係(厚生省、1991)

3.おわりに

2の①②で取り上げた血圧と善玉コレステロールは、メタボリック・シンドロームの診断項目でもあります。「1日の歩数」は、この診断項目と関係していることを表していました。このことから、歩く運動がメタボリック・シンドロームの予防につながることを表しています。そのほかにも、歩く運動によって、血液中の中性脂肪の値や体脂肪率を下げて肥満防止の働きがあるといえるでしょう。 日本万歩クラブの皆さんは、日頃の歩く習慣を大切にして頂き、歩くことで、健康的なからだをいつまでも維持してください。