「秋ナス嫁に食わすな」の真意は?秋ナスの栄養・健康効果

【管理栄養士が解説】秋ナスとは、少し涼しくなり昼夜の寒暖差が大きくなる9~10月に実るナスのこと。ハイシーズンの夏のナスと違い、やわらかくみずみずしい美味しさが特徴です。秋ナスのカロリーと主な栄養素、健康効果、体を冷やす作用や「秋ナス嫁に食わすな」の真意などについて解説します。

秋ナスとは? 夏のナスとの違いはやわらかくみずみずしい美味しさ

ナス朝晩の寒暖差が大きくなる季節に収穫できる秋ナス。この時期ならではの美味しさがあります

ナスは5月頃から出回り始め、10月頃まで市場に流通します。流通するシーズンが長いのは、ナスには様々な種類があり、地域ごとの伝統的なナスの品種も多いためです。

一般的に「ナス」というと、お盆の精霊馬(ナスは牛ですが)などでも使われるように、夏が旬のイメージが強いかもしれません。実際、ナスのハイシーズンは7~9月です。

一方で9~10月は少し涼しくなることで昼と夜の寒暖差が大きくなり、この頃に実るナスは「秋ナス」と呼ばれます。ハイシーズンの夏のナスよりもやわらかく、みずみずしい美味しさが特徴です。

秋ナスのカロリーと主な栄養素・健康効果

ナスの栄養素は季節ごとには調べられていないため、「夏」「秋」の別ははっきりとしていませんが、ナスには水分が90%以上含まれています(『七訂日本食品標準成分表調べ』)。100gあたりエネルギーはわずか22kcalなので、ほとんどエネルギーはないと思っていいレベルでしょう。さらにカリウムが100gあたり220mg、食物繊維が2.2gで、これらもずば抜けて多いというレベルではありません。

ナスを食べる栄養的なメリットとしては、「水分含量が多く、無理なく体の熱を放出できること」かと思います。

秋ナスは体を冷やす?「秋ナス嫁に食わすな」の真意

「秋ナスは嫁に食わすな」という諺があります。この意味は諸説ありますが、「美味しいナスを嫁に食べさせるのはもったいない」という、読んだままの解釈が最も知られているかもしれません。

鎌倉時代の和歌集である『夫木和歌抄』に、「秋茄子はささの糟に漬け混ぜて 嫁には呉れじ棚に置くとも」という歌があります。この歌の「ささの糟」は酒粕のこと。すなわち「酒粕に漬けて美味しくなるまで待つのはよいけれど、嫁に食べられないように気をつけなさいよ」という歌であると言われています。このことから、嫁姑の関係が悪く、姑が嫁に意地悪で食べさせない、すなわち「美味しいナスを嫁に食べさせるのはもったいない」と考える説。いじわるなお姑さんですよね(笑)。

でも本当は、この歌の「よめ」は「嫁」ではなく「夜目」、すなわち「ネズミ」のことを指す、という解釈もあります。ネズミは病原菌を運ぶことからも、厨房にネズミが入るのは好ましくありません。「酒粕に漬けて美味しくなるまで待つのはよいけれど、ネズミに食べられないように気をつけなさいよ」が本当の意味だという説です。

また別の解釈では、嫁を気遣う優しさであるという真逆の説もあります。養生訓にも「茄子は性寒利、多食すれば必ず腹痛下痢す。女人はよく子宮を傷ふ」とあるように、夏野菜であるナスは体の熱を取ると言われているため、涼しくなった秋に体を冷やすナスを食べると、ますます体が冷えてしまう、と考えます。特に「子宮を傷ふ」は、妊娠を望む夫婦にとっては重要な問題です。お嫁さんの体を心配して食べさせてはいけない、という意味であると考える説。こう考えると、お嫁さんの体を心配して「美味しいけれど、食べない方がいいよ」と優しい姑が諭した、と考えるのが正しいのかもしれません。

秋ナスのおすすめの食べ方……定番の浅漬けの他、ラタトゥイユなども

秋ナスは、そのやわらかさを生かして「浅漬け」などにして食べると美味しいと言われていますね。体が冷えそうで気になるのであれば、ラタトゥイユなどにするのもおすすめです。トマト缶や鶏肉、ズッキーニ、パプリカなどと一緒に煮込んだ温かい料理にできますし、彩も美しく、食卓も華やぎます。

秋ナスはアレンジの幅も魅力! 秋の食卓を楽しんで

ハイシーズンの夏を過ぎても、皮もやわらかく、美味しく食べられるナス。夏のナスと同じく、秋ナスも水分が多いこと以外は栄養学的に大きなメリットはありませんが、煮ても焼いても、揚げても美味しく、アレンジの幅も広い野菜です。揚げ物は油をたくさん吸ってしまうので、揚げ料理にしたときは食べ過ぎに注意しましょう。焼きナスや煮物のナスはエネルギーも少ないです。

ナスは多少食べすぎても問題ありません。ぜひ、いろいろな料理で美味しく召し上がってください。